エクアドル旅行記

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屋根に乗れる列車の旅

列車 5:30に目覚める。外からプーと機関車の警笛が聞こえる。既に入線しているようだ。身支度をさっさと済ませ、宿をチェックアウト。宿は駅まで1ブロック半。わずかな距離なのにコーヒーやお菓子の売り子に何回も声をかけられた。駅到着は5:50。まだ外は暗いのに内部に売り子や外国人観光客が既に多数到着していてガヤガヤしている。友人から快適に旅をするには絶対に借りるべきと聞いていたのでクッションを貸し出している人から一ドルで借りる。

 列車はホームではなく少し離れたレールの上で停車していた。車両脇の梯子で屋根に上る。列車は先頭からディーゼル機関車、貨物車が3両、最後尾に客車が2両の計6両編成。2両目から5両目までは屋根に乗れる。

屋根の上 5両目の一番後ろを狙っていたが既に取られていたので5両目の中ほど右側に陣取る。外国人が使うガイドブック『ロンリープラネット』には右側の方が見晴らしが良いと書いてある。屋根は中心を頂点にほんの少しだけ傾斜がついている。淵には高さ30センチの鉄柵が滑り止めの役割を果たしている。屋根の上にも何人か物売りがいてバナナ、コーヒーと声を出している。

 腰を下ろすと日本語で話しかけられた。見るとチケット売り場で見たアメリカ人だった。少し日本語で会話をしてから目をつぶって休もうと努力。前夜酒を少し飲んでいたのでまだ酒が抜けていなかったのだ。(8人でビール大瓶30本空けた) 服はTシャツにフリース、ウィンドブレーカーの3枚。少し寒い。空は少しずつ明るくなり6:30頃町の街灯が消えた。乗客は少しずつ増え、定刻より5分早い6:55に警笛を喧しく鳴らしながらゆっくり発車した。

看板 まず列車はリオバンバ市内を走る。体感速度は30km/h程度。それでも風が冷たい。酔い覚ましには丁度良いけれど揺れるしちょっと気持ちが悪い。通行人は列車に対して手を振る人が多い。随分と慣らされている感じを受ける。レールの切れ目を走る時に鳴るガタン、ゴトンって音と時折機関車の発するプシューって音が随分と久しぶりで懐かしく感じた。

 リオバンバを出て少し走るとパナアメリカーナと平行して田園を走る。この辺りで物売りが子供に投げる飴を売り始める。これが結構な売れ行き。沿線で手を振っている子供に対して投げる奴多数。これぞ西洋式何でもばら撒いちゃえばいいじゃん作戦。つまり途上国の子供に、働くよりも西洋人に尻尾を振って援助を受けた方が楽だと教えて手なずける壮大な作戦。これで途上国の人間を乞食の様にして将来ライバル国にならない様に芽を潰しているんですな。これぞまさに国民を上げての謀略。日本も戦後は餓鬼がギブミーチョコレートと米兵を追いかけていたと聞くがまぁよくぞここまで立て直したものです。まぁアメリカに頭が上がらないのは同じだけれどね。

グアモテ駅のみやげ物屋 途中世界最高峰の火山チンボラソに見送られ、出発して約2時間でグアモテ駅に到着。列車の周りに食べ物の屋台が出る。駅の前では民芸品が床に並べられ民族衣装を着た親子が店番をしている。汚い格好の子供達が何か貰おうと外国人に愛想を振りまいている。ここに約25分停車してから再び列車はゆっくりと動き始める。

 この駅から乗務員が屋根の上に乗ってきた。機関車に対して手信号を送る役割があるようだ。斜面にある畑、放牧される牛・羊・ロバ、愛想を振りまく子供、列車に向かって吠える犬、警笛を鳴らし列車を抜き去る車、小さな集落をいくつか見て列車は平地から山岳地帯へ入ってゆく。

崖 切り立った斜面。この崖から落ちたら間違いなく助からないだろう。遠くの山は茶色い土をさらしているか、灰色の植物に覆われていて殺伐とした感じを受ける。グアモテを出た辺りから太陽が上がり暖かくなってきた。少々雲はあるが青空が広がっている。所々、カーブで速度を落としたり速めたりしながら列車は進む。

 ガタン・ゴトンと走り、遠くに巨大な聖人の像が目立つ町が見えたら次の停車駅アラウシは近い。どんどん町が大きくなり市街地を走りアラウシ駅に到着したのは11:00。ここで約30分休憩。そして最終目的地ナリス・デル・ディアブロ山(悪魔の鼻)へ向かう。アラウシを出てゆっくりと蛇行し、時にはバックしながら列車は少しずつ山を下って行く。

ナリスデルディアブロ 山を下って遠くに見えていた川がすぐ脇を流れるようになり更に少し進んで何も無い所で列車は停車した。後ろを振り返ると山がある。これがナリス・デル・ディアブロらしい。灰色のぷっくりと膨らんだ山。これの何処が悪魔の鼻なのだ??? 乗客は他の駅と同じように列車から降りて記念撮影開始。私も写真を撮り終え屋根の上で休んでいたら車掌から13:30にクエンカ行きのバスがあるから乗らないか?とか、他の男からインガピルカへ行くツアーがあるから行かないか?と声を掛けられた。ここでも約30分停車しバックして来た道を戻る。

 少し走って機関車が切り離され車両の順番を替える。これがなかなか複雑な手順で完了するのにに約15分もかかった。この後はアラウシに向かって同じ道を戻る。アラウシ着は予定より30分遅れた13:30。到着の直前にクッションを回収に乗務員が屋根に上がってくる。服の入ったリュックでも代用できるがここではクッションは重宝する。1ドル出しても借りる価値はあった。

 アラウシの町には特に見所は無い。丘の上にある聖人の像は目立つがそこからの景色もあまり良くない。もしアラウシの町を一望したいのならパナ・アメリカーナまで上った方が良いだろう。

屋根に乗れる列車の旅

地図 エクアドルでは屋根に乗れる鉄道が二路線あり、この旅行記はキトの南のリオバンバ市から出発する列車のものである。リオバンバから週三回(日・水・金)、朝七時に出発している。運賃片道十二ドル。

 もうひとつの路線はキトの北イバラ市から出発する。こちらはバスのような外観の一両編成で平日は朝七時、土日は朝八時に出発する。ただし乗客が少ないと運行中止になるので注意。

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