ベトナム旅行記

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ホイアン旅行記

ホイアン 古代都市ホイアン。その響きに心動かされ大きな期待を抱いて彼の地に降り立った男が一人。残念ながら天気は曇り。彼はさっさと宿を決めて街へ向かう。

 旧市街は狭く一・二時間で歩けてしまう。進めば進むほど彼は自分が勘違いをしていた事に気付く。まず綺麗な建物が多い。色を塗ったばかりの鮮やかなクリーム色や黒の壁が自慢げに映る。発掘や下水工事をしているようで所々で地面を掘り返している。アートギャラリーを筆頭に布製品、陶器、木工細工などなどの土産物屋が目に付く。これじゃ古代都市というより観光都市だよ。

土産物屋日本橋 古代都市を名乗るなら日本人が好む侘び寂びを表現してもらいたい。例えば元は白だったけれどくすんでどどめ色になった壁、土産物屋と言うよりは汚いレストランや商店など地元民の為の施設。彼はテンションが徐々に下がるのを感じながら街歩きを続けた。

 更に彼のテンションを下げたのはこの町の観光チケット制度。75000ドンで5枚綴りのチケットを買って、主な観光スポットに入れるのだがこれが本当に不便。5枚綴りで何処にでも入れるわけではなくそれぞれ博物館(三箇所)・中華會館(三箇所)・旧家(四箇所)・伝統音楽コンサート・その他の見所に対応している。例えば一箇所博物館に入ったらチケットが切られてしまい、他の博物館に入れなくなる。これは中華會館にしても旧家にしても同じ。もし全ての旧家を周りたいなら四枚(75000×4)チケットを買わねばならない。この自己都合的制度で誰が得をしているのか彼は不思議に思ったが、1枚だけ買って観光を諦めた。

中華會館 そして二日目。晴れたし折角だからと再び旧市街へ出る。日本橋の別名を持つ来遠橋の内部にはホイアンとカタカナで書かれた提灯がぶら下がる。ただ、日本様式というより中国様式が強いと思うのは彼だけだろうか。土産物屋をひやかす。店によって熱烈歓迎押売万歳な所、商魂低放置処置な所と対応が真っ二つに分かれる。ベトナムだから前者ばかりだと思っていたが後者のような店もあって疲れなくていい。良く見れば布製品の色使いはアジア系の大胆なものだし、柄も独特。陶器も微妙に形が違い手作り感が出ていて良い。

市場 旧市街の外れにある市場は食品・日用品などが売られていて老若男女問わない地元民、ざるのついた天秤棒に商品を乗せて歩くおばちゃん、白人などのツーリスト、そして客引きをするオカマ(笑)なんかがいて活気がある。彼はバナナの店でミニバナナを一房買ってカバンに括り付け頬ばりながら散策を続ける。

 川の見える地元民が何人も座っているスペースに彼も腰をおろして休憩。すると一人の老人が彼に近づき紙とペンで達筆な字で我中国人書いて彼に見せる。彼は独特の悪筆で我日本人と書いて彼に返す。すると老人は嬉しそうに自分の名前や青年、老師など日本人でもわかる字を書いて彼に見せ、それに彼が筆答する。

仲良し爺さん そんなやり取りをしていたら突然8歳くらいの女の子が英語でなぜあなたは日本人でおじいさんは中国人なのに理解できるのと聞いてきた。彼は文字が同じだからだと答えたが女の子は不思議そうにしていた。そして突然首から黒い紐でペンダント代わりにしている穴の開いた古銭らしきものを手に取りこれは中国のお金、左腕と右腕の貝殻のブレスレッドとアンクレットを指差しこれはタイ製、日本人からもらったのあなたも何か頂戴だと。彼は彼女というよりも彼女をこんな風にしたとんまな日本人旅行者に気分を悪くした。それでも申し訳なさそうに君にあげられるものは無いと伝える。すると彼女は残念そうに立ち去った。彼は他人が自分の物を人にあげる行為を否定する気は無い。ただ長い視点でそれが本当に当人のためになるか考えてやってるのかいつもながら疑問に思ったそうだ。

 そして夜。彼は知り合った日本人とホイアン名物の三品、ホワイトローズ・揚げワンタン・カオラウが食べられる川沿いのレストランへ。(セットで30000ドン)食事に関して非常に無頓着な彼だがこれは気に入ったようだ。そして他の三人がまだ二十台前半だと聞き旅する年代の世代交代を目の当たりにする。まぁ昔のままって事はありえないって事か。

ホワイトローズ 揚げワンタン カオラウ
左からホワイトローズ・揚げワンタン・カオラウ

ホイアンの夜 ホイアンの夜はオレンジ色の明かりが灯り昼とは違った健康的で怪しい雰囲気になる。人通りは少なくて所々真っ暗なんだけど南米と違ってピリピリした感じがない。一人じゃ歩きたくは無いけどさ。

 そして三日目。この日も晴れ。最後にもう一度歩き慣れた通りへ。他の都市と比べるとバイクの量が少ないし、土産物屋をひやかすのも楽しい。安い宿もあるし、旅行者がゆっくりするにはいい所かもしれないと彼は観光都市ホイアンの事を見直したのである。

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