日本旅行記

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東京湾一周記

蘇我駅に入線する内房線 遠距離を移動するためJR東日本のツーデーパスを買った。 一日で往復してしまい、残った一日で東京湾を一周することにした。

 ルートは東京駅から京葉線で蘇我まで行き、内房線に乗換え浜金谷へ。 そこから東京湾フェリーで久里浜へ渡り総武線快速で東京に戻る予定。 浜金谷では鋸山に登るつもりだ。

 早起きしようと目覚ましをかけていたが、止めて二度寝。 目が覚めたのは乗る予定だった電車が最寄り駅から出発する時間だった。 まぁ一人だから遅れても何て事はない。 再び乗換え案内を調べて出発時間を決める。 内房線の本数が少ないので出発は一時間後で良いようだ。 ただ、人身事故で内房線が遅れているらしい。 なんだか嫌な予感。

駅から見た鋸山 一〇時頃ようやく東京駅へ。 お盆の時期だからか大きな荷物を持っている人が多いようだ。 いつもながら山手線ホームから京葉線ホームは遠い。 動く歩道は人が多いので使わず、大股歩きで動く歩道の人々を追い抜いていく。 そして京葉線。 ホームと電車で待つこと一〇分弱。 蘇我行きの快速電車はゆっくりと発車する。

 電車ではほとんど寝ていた。 途中、半分以上の乗客が海浜幕張で降りたところは目が覚めた。 メッセで何かやっているのだろうか。

 蘇我の駅は内房、外房、京葉、総武線快速が止まり六本ホームがある。 房総への基点になる駅だ。 千葉発の内房線、外房線がこの駅で別れて安房鴨川で再び合流する。 素通りしたことはあるがホームに立つのは初めてだ。

鋸山登山道入口 電車を待っていると内房線は一〇分遅れて運行していると構内放送が流れた。 事前情報通りだ。 それにしてもお盆の日に人身事故とは事故に遭った人は何かに導かれたんだろうか。

 アナウンス通りの遅れで電車は入線。 上下が群青色で中がクリーム色の古い車両に乗り込む。 ここから浜金谷までは緑の風景を車窓から見ること約一時間二〇分。 電車は静かに駅へ到着し、何事も無かったかのように私をホームに残し走り去った。

 青空にはカンカン照りの太陽と、薄く広がったウロコ雲が浮かんでいる。 海沿い特有の潮の匂いは感じられなかった。 木々の緑に覆われているが一部険しい岩肌が露出している山が視界に入る。 あれが今回登る鋸山だ。

金谷の町 鋸山は標高三二九.五メートル。千葉県では一二番目に高い山だ。 ※ちなみに千葉で一番高い山は愛宕山で標高四〇八.二メートル。千葉県は全都道府県で最も最高峰の山が低く海面上昇すると最初に海に沈む。

 金谷方面から見ると山の上部がノコギリのようにギザギザに見えることから 鋸山と名前が付いたらしい。 岩肌が剥き出しになっているのは江戸時代から昭和まで石を切り出して売っていたからだ。

登山中に見かけたくもの巣 駅から鋸山登山道へ向かう。 観光客向けに道標がしっかり整備されていて好感を持てる。 途中スーパーがあるので昼用にパンと飲み物を買う。 地元向けスーパーなので値段も地元民向け。 こういう店があると助かる。

 駅から寄り道しつつ約二〇分で登山道へ。 ここから石段を登り金谷の町から三浦半島まで見渡せる観月台へは一〇分程度で着く。 小腹が空いたので早速パンを食べ再び頂上へ向けて歩き始めた。 するとすぐに下り道。どうやらこの山は上り下りが連続するようだ。 道は苔が生えて滑りやすい箇所が多く、急な坂も多い。 標高三二九メートルだと思って舐めていると結構痛い目に遭うかも。

休憩所 途中、青い板に手書きの白い字で休憩所と書かれた立て札があった。 黄色でハートが書いてあって安いラブホでも山中にあるかのような錯覚を覚えた。 若い男女は勘違いして山中で始めてしまうかもしれないから撤去した方がいいんじゃないのか。

 そして鋸山最大の見所だと思った石切り場とその周辺へ。 美しく切り抜かれた山はまるで古代の巨石文明の遺構のような佇まい。 気に入った!

石切り場 痛っ。 石切り場で、すねの高さ位まで鉄の杭が出ているのに気付かず負傷。 5センチくらいの切り傷ができた。 すねだったから骨があって傷は浅かったのが不幸中の幸い。 でも弁慶の泣き所だから気力、体力共にダメージは大きかった。

 寄り道、休憩、写真撮影などなどで時間を掛けながら 駅から約二時間で頂上へ。 この山の頂上は三角点と看板しかない。 眺望は途中にある東京湾を望む展望台の方が優れている。 何だかがっかりな頂上だ。

 ロープウェイで帰ろうと思っていたのだが 来た道を戻るのが嫌になってしまい車力道という別の道を使うことにした。 車力道とはこの山から石を切り出していた頃に採掘した石を下ろすのに使った道らしい。 足元の石が轍のように凹んでいる。険しい道なのでかなりの重労働で危ない仕事だったのだろうな。

フェリー乗船口へ フェリーにて 帰りは行きの半分の時間で駅近辺まで戻る。 駅からフェリー乗り場へは五分弱。 乗り場には大きな駐車場と物産センターがある。 物産センターには海産物、漬物、キーホルダーなどの土産物がずらっと並んでいる。 観光客も多く繁盛しているようだ。 ここのバームクーヘンはベルギーのモンドセレクションで最高金賞を受賞したことのあるくらい本格的なんだとか。 (二〇〇六、二〇〇七年:最高金賞、二〇〇八年:金賞 http://www.minamitei.jp/hpgen/HPB/entries/2.html) この日もガラス張りの工房でバームクーヘン作っていたなぁ。 あんまりお菓子は好きではないので買わなかったけれどこれから行く人は試してみるといいんじゃないでしょうか。

出港! そして東京湾フェリー。 フェリーなのにJR東日本のツーデーパスが使える。 新聞で読んだが選挙対策で全国的に実施している高速道路一〇〇〇円の流れに乗って アクアラインが八〇〇円になったため東京湾フェリーは大打撃を受けているらしい。 以前ならこの時期は車なら二、三時間待ちが当たり前だったが今年は満車になることが ほとんど無いとか(読売新聞ニュースより) 反高速道路割引or無料化という関係だとJR東日本と東京湾フェリーは同じ立場ということか。

 フェリーは一階が車で二、三階が客室になっている。 二階にコーヒーや軽食を売る店があって行列ができていた。 私は二、三階をひと通り確認してから三階のデッキに出て少しずつ遠くなる房総半島を眺めていた。

船を追うカモメ 餌を投げる乗客がいるのでカモメが船を追いかけてくる。 空中で餌をうまくキャッチする奴もいるし、海に落ちた餌を追いかけてキャッチする奴もいる。 写真を撮る立場だと前者の方が嬉しいが、餌を得る方法として効率が良いのは後者だな。

 ファインダー越しにカモメを追いかけていたらいつの間にか久里浜が近くなっていた。 他の乗客が下船口へ向かい始めたので私も人の流れに従うことにする。 久里浜側は金谷側と比べると土産物屋も小さく残念な感じ。

久里浜駅 フェリー乗り場からは京急バスで京急久浜駅まで行く。 ここもツーデーパスが利用可能。 フェリーの乗客が皆乗ろうとするのでバスはすぐに通路まで人で一杯になる。 タラップに乗ったままの人がいてブザーが鳴り止まず、すぐにバスが出発できなかった。 運転手が注意して何とか上がったのだろう、ブザーが止まりバスは出発した。

 途中のバス停で一組乗客が降りようとしたときは 通路の人が道を空けようとモーゼの脱エジプトの逸話の如く真ん中に綺麗に道ができていた。 (海じゃなく人だけど) その後は順調に終点まで着き、ツーデーパスの使えない京急の駅からJRの駅まで歩いて総武線快速に乗って東京駅へ。 久里浜から約一時間二〇分後にスタート地点に戻り東京湾一周はあっけなく終わった。 道草ありで大体6時間半。 電車と船ありで二五〇〇円也。(ツーデーパスは五〇〇〇円。一日なので半額とした) 渋滞なし、ガソリン代なし、駐車場の心配なし、そして環境に優しく、寝てても誰にも文句を言われない。 こんな旅もいいんじゃないでしょうか。

ツーデーパスについて

2009年8月〜9月に高速道路1000円に対抗して発売されたお得なきっぷ。別途特急料金を払えば新幹線も使える優秀なきっぷ。(青春18きっぷは特急料金の必要になる電車に乗る場合は乗車券も購入する必要あり)
以下、詳細はJR東日本のサイトより引用

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■駅レンタカー(Sクラス)が1暦日2,000円でご利用になれるキャンペーンを実施します。

ツーデーパス
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